危険なめまいのサイン ― 脳梗塞・脳出血との見分け方
めまいは非常にありふれた症状で、その多くは耳の内耳(三半規管)の不調や自律神経の乱れなど、命に関わらない原因によって起こります。しかし、ごくまれに脳梗塞や脳出血など、緊急の治療を要する病気が背景に隠れていることがあります。
今回は、「様子を見てよいめまい」と「すぐに医療機関を受診すべきめまい」を見分けるポイントをご紹介します。
めまいの多くは「良性」のもの
めまいの原因として頻度が高いのは、以下のような病気です。
- 良性発作性頭位めまい症(BPPV):頭を動かした瞬間に数秒〜数十秒回転性のめまいが起こる
- メニエール病:めまいに耳鳴りや難聴を伴い、発作を繰り返す
- 前庭神経炎:数日続く強い回転性めまい
- 起立性低血圧:立ち上がった瞬間にクラっとする
これらは命に関わるものではありませんが、日常生活に支障をきたすため、症状が続く場合はやはり受診をおすすめします。
危険なめまい(脳卒中の可能性)を疑うサイン
以下のような症状がめまいと同時に、あるいは前後して現れた場合は、脳梗塞や脳出血など脳血管障害の可能性があります。様子を見ず、できるだけ早く救急要請(119番)または救急外来の受診をご検討ください。
「FAST」でチェック
脳卒中の代表的なサインとして、次の頭文字をとった「FAST」が知られています。

FAST以外にも注意したい随伴症状
- 今まで経験したことのない、突然の激しい頭痛
- ものが二重に見える(複視)
- 片方の手足や顔半分がしびれる、感覚がない
- 力はあるのに歩くとふらついて、まっすぐ歩けない
- 意識がぼんやりする、もうろうとする
- 飲み込みにくい、むせる
- 突然、片方の目が見えにくくなる
これらの症状が急に現れた場合は、めまい自体の程度が軽くても油断せず、緊急受診を検討してください。
「良性のめまい」との見分け方のヒント
もちろん自己判断には限界がありますが、大まかな傾向として以下のような違いがあります。
| 内耳性・良性のめまいに多い特徴 | 脳血管障害を疑う特徴 | |
|---|---|---|
| 随伴症状 | 耳鳴り、難聴、吐き気が中心 | ろれつが回らない、手足の麻痺・しびれ、激しい頭痛 |
| きっかけ | 頭を動かした時に誘発されやすい | 安静時にも突然起こることがある |
| 経過 | 数秒〜数時間で軽快することが多い | 症状が持続する、悪化する |
| 意識 | 保たれていることが多い | もうろうとする、反応が鈍くなることがある |
※ あくまで一般的な傾向であり、この表だけで判断することはできません。少しでも不安がある場合は、迷わず医療機関にご相談ください。
受診の目安まとめ
- FASTのいずれかに該当する症状がある → ただちに救急要請
- 今までにない激しい頭痛や意識障害を伴う → ただちに救急要請
- めまいが数日続く、繰り返す、耳鳴りや難聴を伴う → 早めに耳鼻咽喉科や神経内科を受診
- 立ちくらみ程度で、他に症状がない → 様子を見つつ、繰り返す場合は受診を
よくある質問
Q. めまいだけで、他に症状がなくても脳梗塞の可能性はありますか? A. まれにありますが、多くの場合、脳梗塞・脳出血によるめまいには、ろれつが回らない・手足のしびれ・激しい頭痛などの症状を伴います。めまい単独の場合は内耳性の可能性が高いですが、繰り返す場合や不安な場合は受診をおすすめします。
Q. めまいの時、救急車を呼ぶ目安は? A. 顔の片側が下がる、片方の腕に力が入らない、ろれつが回らない、これまでにない激しい頭痛を伴う場合は、ただちに救急要請(119番)をご検討ください。
Q. めまいがある場合、何科を受診すればいいですか? A. 耳鳴りや難聴を伴う場合は耳鼻咽喉科、手足のしびれや麻痺、言葉の異常を伴う場合は救急外来が目安です。判断に迷う場合は、まず当院にご相談ください。
おわりに
めまいの背景には様々な原因があり、そのほとんどは緊急性の低いものです。しかし、「いつもと違う」「初めて経験する激しさ」「手足のしびれや呂律の回らなさを伴う」といった場合は、脳卒中のサインである可能性があります。
少しでも気になる症状がございましたら、遠慮なく当院までご相談ください。
【文責・医学博士】高木輝秀