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土曜午後、木曜、日曜、祝日

めまい外来

めまいについて

めまいは、ストレスや寝不足、疲労などが誘引となって発症することが多く、また、めまいの原因には緊急を要する病気の場合もあります。めまい外来では、そのめまいの原因を探り治療を行います。

めまいとは、目がぐるぐると回るようなくらくらとした感覚のことを言います。これはあくまでも症状であり、病名ではありません。めまいは、ぐるぐると物が回って見えたり、物が揺れ動いて見えたり、目がかすみ目の前が暗くなる、地震が起きたかと思ったなど、人によって感じ方・表現の仕方が千差万別なのも特徴的です。また、頭痛や吐き気などの症状を伴うこともあり、いずれにしても、とても不快な症状であることは違いありません。 めまいにも、あまり緊急性のないものと脳血管障害や脳腫瘍などの基礎疾患を原因とするものがありますので、的確な診断・治療が必要となります。

めまいの検査

眼振検査(めまいの程度を調べる検査)、平衡検査(からだのバランスがきちんととれているかを調べる検査)、脳血管障害や脳腫瘍などの基礎疾患を原因とするめまいも考えられるので、小脳機能検査、必要に応じてMRIによる画像診断を行います。

めまいの種類

回転性めまい

症状が強く、最も不快なタイプといえます。

症状

難聴や耳鳴りを伴ったり、耳が詰まった感じなどがみられます。

特徴

  • 急に発症し、難聴や吐き気を伴うことがある。その多くが耳の異常が原因で起こり、放置すると難聴になる危険性もある。
  • 自分自身がぐるぐるまわったり、周囲のものがぐるぐるまわる感覚。
  • 目玉がすばやく左右にうごく、縦や不規則な動きをする場合は脳出血などの病変が疑われるので、早急に病院への受診が必要。

代表的な病気

  • 椎骨脳底動脈循環不全(脳血管の一部である椎骨脳底動脈が血流障害を起こす)
  • 脳幹や小脳の出血
  • 突発性難聴(突然、耳の聞こえが悪くなる)
  • メニエール病(めまいの発作を繰り返すうちに、難聴や耳鳴りを伴う)
  • 前庭神経炎(急に激しいめまいがおこり、数日~1週間程度続く)

動揺性めまい

足元がふらついて、真っ直ぐ立っていられなかったりするめまいです。お薬の副作用で起きることもあります。

特徴

  • 体がグラグラ揺れている感じがする。
  • 歩くときに不安定な感じがすることがある。

代表的な病気

  • 回転性めまいの病気の慢性期
  • 聴神経腫瘍(聴神経にできる腫瘍で、片側の耳鳴り・難聴、歩行時のふらつき)
  • 脳幹・小脳梗塞
  • 薬物によるめまい(結核の治療薬:ストレプトマイシン、カナマイシンが有名)
  • 脊髄小脳変性症

浮動性めまい

からだが宙に浮いているような感じで、まっすぐ歩くことが困難となります。頭痛や手や足のしびれ、運動麻痺などの症状がみられます。

特徴

  • 急に、または徐々に症状が現れる。
  • ふらつき、頭痛やしびれを伴うこともしばしば見られる。
  • からだが宙に浮いているよう感じ、あるいは雲の上を歩いているような感じ。
  • 脳の病気で起きることが多いが、うつ病など心因性のものもある。

代表的な病気

  • 脳腫瘍、脳血管障害
  • 高血圧
  • うつ病、精神的なストレス
  • 疲労、睡眠不足

立ちくらみ

立ち上がった瞬間クラッと、目の前が真っ暗に。

症状

立ち上がった瞬間にクラクラっとしたり、長く立っていて目の前が暗くなったりする感じです。また、失神してしまうこともあります。

特徴

  • 脳の血流が悪くなっておきる。
  • 小学校高学年~中学生にかけて多くみられる。

代表的な病気

  • 起立性低血圧症(起立時の急激な血圧低下)
  • 起立性調達障害(小児のめまい、朝なかなか起きられず、逆に夜に寝付けない。思春期に最も多い疾患の一つ)

PPPD(持続性知覚性姿勢めまい)とは

PPPDは、めまいの一種ですが、一般的な回転性めまいやふらつきとは異なり、持続的で非回転性の不安定感や浮動感が特徴の疾患です。

主な特徴

  • 長期間(3ヶ月以上)続くふらつきや不安定感
  • 自分が揺れている、浮いているような感覚
  • 実際に立っていなくても、座っていても感じる
  • 発症のきっかけとして、前庭性疾患(BPPV、前庭神経炎、メニエール病など)やストレス、頭部外傷があることが多い
  • 明確な器質的異常はなく、脳MRIや耳鼻科検査で異常が見られないことも多い

病態・原因

PPPDは、脳が「めまいの情報」に過剰に反応してしまう状態**と考えられています。

■関連する要素

  • 視覚・前庭・体性感覚のバランスの乱れ
  • 過度な注意の集中(self-monitoring)
  • 不安やストレスによる交感神経の緊張
  • 慢性的な感覚のミスマッチによる自己位置の不確かさ

脳が「体の揺れ」に対して過敏になり、それを訂正しようとするあまり、かえってめまい感が持続するという悪循環に陥ります。

診断基準(Barany学会 2017)

  • 少なくとも3か月以上続く、非回転性のめまい・ふらつき・不安定感
  • 立っている、歩いている、あるいは動いている視覚刺激にさらされると悪化
  • 急性の前庭イベント(BPPVなど)や心因性イベント(パニック発作など)に続いて発症
  • 身体検査や画像で明らかな神経障害がない
  • 他の診断(例えばメニエール病や脳腫瘍など)では説明できない

PPPDと慢性上咽頭炎の関連性

1.共通の症状:ふらつき・不安定感
慢性上咽頭炎の患者さんも、非回転性の「ふらつき感」や「頭の重さ」「ボーっと感」「自律神経の乱れ」を訴えることがよくあります。これらはPPPDの症状と非常に似ています。

2.自律神経系の関与
上咽頭は自律神経(特に交感神経・迷走神経)との関係が深い部位です。炎症が続くことで迷走神経機能が低下し、結果的に交感神経過緊張→不安感・緊張・動悸・ふらつきといった症状が慢性化することがあります。PPPDの中核も「前庭感覚+自律神経+認知」のアンバランスなので、ここで繋がります。

3.炎症性サイトカインの影響
上咽頭の慢性炎症では、IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインが脳に影響を与える可能性があります。特に扁桃体や視床下部など情動・ストレス反応を司る部位に作用することで、不安や過敏状態を引き起こし、PPPDに類似した症状を助長することがあります。

4.EAT(Bスポット治療)での改善例
PPPDと診断された患者さんにEATを施行したところ、ふらつきや慢性疲労感が軽減するケースも臨床上しばしば見られます。これは、慢性炎症源を断つことで自律神経と感覚処理のバランスが回復した可能性があると考えられます。